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Office & Dormitory  /  2014

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Photo by Hiroyuki Hirai

概要

所在地 : 三重県鈴鹿市

用途地域 : 準工業地域

指定建蔽率 : 60%

指定容積率 : 300%

防火地域 : 指定無し

その他 : 地区計画、都市計画道路

 

規模

主要用途 : オフィス、寄宿舎

規模 : 地上2階

構造 : 鉄骨造

敷地面積 : 903.87m2 (273.42T)

建築面積 : 353.50m2 (106.93T/建蔽率:39.11%)

1F床面積 : 271.34m2

2F床面積 : 142.61m2

延床面積 : 442.11m2

法床面積 : 413.95m2 (125.21T/容積率:45.80%)


パートナー

建築設計 : 一級建築士事務所タスエス

写真撮影:平井 広行


Prize

International  award

<<< Turkey >>>

2015 2A Asia Architecture Award  コマーシャル部門 ”2等” 

<<< Taipei >>>

2015 Taipei International Design Award 公共空間設計部門 ”優選” 

<<< Japan >>>

2015 JCD International Design Award  "BEST100"

Domestic  award

第34回三重県建築賞  ”入選”

DSA日本空間デザインアワード2015  "優秀賞" 

 



Publication

International publisher

DOMUS WEB / イタリア

FRAME WEB / オランダ

archdaily / チリ

Domestic  publisher

BAMBOO MEDIA

年鑑日本の空間デザイン2016 / 六耀社



Concept

三重県鈴鹿市。関東に本拠を置く印刷会社の、中部・関西方面のフラッグシップの計画です。長距離運搬の中継地点となる倉庫を含む事務所と、ここで働く所員のための住宅(社宅)、そして出張員が寝泊まりするための、ゲストルームが主なプログラムです。

地域に根ざすという理念と、居住空間の快適性の追求という観点から、1階に事務所を平面的に配し、2階に住居系を載せる構成としました。

 

地方都市の多くは完全なる車社会で、幹線道路沿いには、巨大ショッピングモールを筆頭に、娯楽施設、ホームセンター、家電量販店、飲食店など、様々な建物が建ち並び、行き交う車にアピールすべく大きな看板を掲げています。その光景はさながらバナーがひしめくインターネット画面のようで、人はいるけど"ヒトケ"がない。ロードサイドを中心とした都市空間の"二次元化"が起こっています。

  

地方都市のロードサイドに居住するという課題を如何に解くか。車社会のスピード感の中で見えにくくなってはいますが、実際には立体空間は存在しています。そこに価値を見出し、ロードサイドの5m上空に、快適な居住のための園を作ろうと考えました。

図式的には『看板に住む』わけです。

 

全面ガラスで覆われた1階事務所は、Φ100mmの細い構造丸柱の間を縫うように配した、連続して重なる白く有機的な4.5mm厚の薄い鉄製パーテーションによって、内部空間のレセプションと事務エリアは緩やかに切り分けられています。

それは、高速プリンタから次々と出力される様を彷彿すると共に、働く従業員や来客者の動きに合わせて表情を変え、ショーケースの中で繰り広げられる人間模様を映し出すスクリーンとなります。

 

事務所の屋根の上には、それぞれ異なる反射特性を持つ金属板を身にまとった小屋(住戸)が建ち並び、地場産材を用いたウッドデッキと緑が展開する屋上庭園になっています。各棟は周囲の看板と同じようなスケールです。小屋群は情報をインプットし、紙等の媒体を通じてアウトプットするという、印刷業そのものを表していますが、うつろう空や近隣環境を映し出し、また、ここで営まれる生活の"生"さを、編集しつつ増幅させて発信します。

 

前面道路に対して窓を設けず、ぶっきらぼうな表情を見せていますが、その代わりに反対面(東面)に大きな窓を並べ、居住空間に朝日を取り込んでいます。また、小屋郡のうち、東に面した居住空間の内装色には、印刷インクの基本色(CMYK)である、シアン、マゼンダ、イエロー、キープレート(ブラック)がそれぞれ割り当てられ、夜には各内装色によって周囲を灯す、行灯の役割を果たします。

 

この空中庭園は小さな"街"です。その街が今、無表情な看板によって地域に認知されつつあります。やがて地域に開放され、人が行き交うようになるでしょう。その時、その賑わいがまた新たな"看板"となります。他とのアピール合戦に参戦するのではなく、ゆっくりと時間をかけて地域のコミュニティに溶け込み、さらにはその発信地となる事を願っています。

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